刀剣乱舞CoCシナリオ「切っ先の行方」
概要
闇堕ち(敵化)ネタを使った、刀剣乱舞の世界感を前提としたCoCシナリオ。
本丸を舞台としたクローズドサークル。短〜中編ぐらいのセッション時間を想定。
特殊ルール多め、且つ設定の大部分を捏造しているのでご注意。
2015/7/10時点、テストプレイがまだできていません。数値がバランスを欠いている可能性を考慮してご使用ください。
PL人数
PL人数は1〜4人を想定。
PLは審神者でも刀剣男士でも構わないが、審神者が1人以上居ること、そして刀剣男士PLはいずれかの審神者PLの初期刀とすることが条件。
お勧めの編成は以下の通りである。
PL1人: 審神者1人
PL2人: 審神者2人 または 審神者1人刀剣男士1振り
PL3人: 審神者2人刀剣男士1振り
PL4人: 審神者2人刀剣男士2振り
キャラシメイク
審神者は【審神者】、刀剣男士は【策敵】【日本刀】がほぼ必須技能となる。
それに加えた推奨技能は、【図書館】【コンピューター】と【隠れる】。
更に【目星】と【精神分析】もあると便利だろう。
【審神者】技能について、審神者PCは初期値が40、刀剣男士は取得不能である。
【策敵】は、刀剣男士はキャラクターのランクアップ前の「偵察」を初期値とする。審神者は取得不能である。
また、刀剣男士という職業の特殊ルールとして、【日本刀】の初期値を50%とする。
職業pを振り分けても構わないが、まだ「特」がついていない程度の練度であることが前提の為、KP裁量で上限値を設けたほうがいいかもしれない。あるいは、70%を初期値且つ上限値と定めるというのも手だろう。
本丸
シナリオ開始時点で本丸には以下の者が住んでいる。
・審神者(PL)
・初期刀(PLまたはNPC。審神者の人数分居てもいいし一振りのみでも良い。)
・短刀一振り(NPC。チュートリアルで鍛刀)
・太刀一振り(NPC。チュートリアル後に鍛刀で来た。)
・こんのすけ(NPC)
見ての通りのひよっこ本丸である為、各刀剣の練度はまだ特がついていないぐらいを想定。
太刀一振りは初期刀がPLだった場合にKPを補助する為の誘導・手助けNPCとして配置している為、必要に応じて刀種を変えたり人数を増減させても構わない。しかし、鍛刀も一応可能にしているので、最初は最小限のNPCのみ配置して、必要そうなら審神者PLに鍛刀させて増やす形にしたほうが、刀剣乱舞らしいと思われる。
特殊ルール
魂抜け(闇堕ち)ルール
1)刀剣男士は発狂中に3ダメージ以上与えられると「霊魂」が「肉体」から分離する。
2)「霊魂」を失った「肉体」は敵グラの骸骨的な生き物に変化する(魂抜け)。
3)魂抜けを起こした刀剣は魂を求めて他の男士や審神者に攻撃するようになる。これは精神分析でも静まらない。
4)魂抜けを起こした刀剣は「霊魂」を審神者の力で戻せば元の男士の姿に戻る。
5)「霊魂」を正しくない「肉体」に戻そうとしても、弾かれて戻らない。
鍛刀ルール
本丸の鍛刀部屋にて鍛刀が可能。ルール簡略化の為、資源と依頼札はシナリオ内においては不足しないものとする。
ただし、時間経過を待てる状況にない為、手伝い札を必須とする。
どのように鍛刀を行うかはKP裁量だが、刀剣乱舞気分を味わいたいならPLにレシピを指定してもらって、鍛刀シミュレーターを使うか、鍛刀データベースを参照してダイスロールで顕現する刀を決めると、刀剣乱舞らしくなるだろう。
顕現する刀の能力値は短刀・打刀・太刀のサンプル能力値を参考に決定。初期レベルだが、ひよっこ本丸なので本丸内の刀剣とそう変わらない強さで問題ない。
手入れルール
本丸の手入れ部屋にて刀剣の手入れが可能。手伝い札を一枚消費することで、刀剣一振りのHPを最大値(初期値)まで回復することができる。審神者のHPは回復できない。
シナリオ
KP用前振り
とある時、とある場所で、まだどこの本丸にも拾われていない短刀が、悪霊に捕まった。
この悪霊は、魂を糧とすることを覚えたもので、短刀の魂を食らったうえに、魂抜けで変化した肉体をも乗っ取った。
刀剣男士の魂の味をしめた悪霊は、男士を求めて彷徨った末にとある本丸を見つける。
ここの本丸の刀剣はあまり練度が高くなく、数も多くない。
魂を無くした短刀はただ魂に惹かれて、その中に潜む悪霊は本丸内の刀剣の魂を食らおうとして、結界内に忍び込んだ。
導入
ここからは、本丸に居る短刀は今剣、太刀は燭台切光忠と仮定したうえで記述する。
キャスティングはKPの自由なので、あわせて改変した文章等を使っていただきたい。
シーンは、審神者と初期刀が一緒に審神者部屋に居るところからはじまる。
のどかな午後のこと。
昨日の出陣で負った傷の手入れも終わり、本丸は平和なひとときを過ごしていた。
君たちは、審神者の部屋で、今後の出陣について計画を立てているところだ。
そんな時、突如本丸に警報が響き渡る。
『侵入者を感知しました。直ちに警戒してください。侵入者を感知しました。直ちに…』
はじめてきく無機質なアナウンス。君たちが状況を確認しようと立ち上がった時には、廊下にはバタバタと足音が響いていた。他の刀剣達が既に捜索を始めているようだ。
探索者達は部屋を出ようとする筈だ。
あるいは、部屋に備え付けの端末で状況を確認するなら、「侵入者を感知しました」というアラートが表示されているだろう。ただし、場所は表示されていない。
探索者達にはあまり時間を与えずに、すぐに今剣の悲鳴らしき声が中庭Aのほうであがる。
KP情報として、このとき今剣は中庭Aで侵入者の短刀に遭遇したところである。
ただの短刀と今剣が見くびった隙を、中の怨霊が正体を現して脅かした為に一時的発狂を発症、その隙に攻撃をされて「魂抜け」を起こしてしまう。そのまま魂を食らわれるところを、ギリギリこんのすけが分割して隠したが、今剣の肉体は変化して侵入者の短刀共々その場から姿をくらました…といういきさつになっている。
中庭Aに駆けつけた君たちだったが、そこに居たのはこんのすけのみで、今剣の姿はなかった。
審神者の姿を見つけたこんのすけは、走り寄ってくるや否や、「緊急事態です!」と叫ぶ。
『緊急事態です!本丸に敵が一体侵入しました。早急に破壊してください。
緊急事態です!本丸の短刀が魂抜けを起こしました。早急に回収してください。
警戒レベルの上昇を確認しました。ゲートを封鎖します。』
そこまでを一息に告げると、唐突にがくんとこんのすけの動きが鈍くなった。
『電力が不足している為、スリープモードに入ります。…』
そして、数秒前までは慌てて緊急事態を告げていた狐は、もの言わぬ置物となって、動きを停止させる。
君たちに残された情報は、今なお敵がこの本丸内に存在する事と、本丸の短刀、すなわち今剣の身に大事が起きたことのみだ。
ここで、燭台切光忠が合流する。
今剣と手分けして玄関近くを捜索していた彼は、悲鳴がきこえた今剣の姿が見当たらないことに、困惑するだろう。
そして、「何があったのかな」と審神者に尋ねる。
尚、こんのすけは叩いても揺すっても起動しない。審神者の部屋で充電できるが、充電が溜まるまで時間がかかる等、とにかくシナリオ内では役立たずの存在だということをKPからPLに伝えたい。
何が起きたのかは、まだ釈然としない。
だが、ひとつだけ確かな事がある。この本丸は現在、危険に晒されている。既に、犠牲者が出たかもしれない。
君たちは、親しんだ本拠地である筈の本丸が、まるで未知の戦場になったかのように思い、背筋が寒くなるのを感じた。
0/1のSANチェックである。
審神者の私室(魂抜けについて)
「魂抜け」については、燭台切光忠は聞いた事がないが、「主が政府から支給されたって言ってたマニュアルに書いてないかな」とヒントを提示してくるだろう。PLに尋ねられた場合、KPはそのマニュアルが審神者の私室の本棚に置いてあることを伝えて良い。
もし、誘導に関わらずPLが「魂抜け」の調査を行わずに先に敵の捜索をはじめるようなら、敵短刀に遭遇させても良い。ただし、この短刀は審神者部屋のほうに逃げていく。そして、追いかけてきたPCが通りかかったところで、燭台切光忠やNPC刀剣男士に「魂抜けについて調べよう、今剣が心配だ」と誘導させる。
審神者の私室にはコンピューター、文机、本棚がある。
本棚には政府から支給された審神者マニュアルがあり、【図書館】技能で調べることができる。
【図書館】が成功すると、「精神的に乱された刀剣男士が肉体的な衝撃を受けると、魂抜けを起こすことがある」ことがわかる。また、成功/失敗にかかわらず以下の情報が手に入る。
1)「魂抜けを起こした刀剣男士が姿を含めて敵化する」こと
2)「審神者の力で魂を戻せば刀剣の姿も戻る」こと
3)「霊魂を戻す呪文」
・【審神者】技能に成功する必要がある。MP+1ごとに成功率10%上昇。
・詠唱に1ラウンドが必要。術者はその間行動不可能(回避、受け流し含む)
上記と同じ情報は、本棚ではなくコンピューターで審神者マニュアルを調べた場合も、同じように【図書館】技能で手に入る。また、コンピューターを使って調べた場合、緊急のメールが入っていることに気付くだろう。
このメールは、悪霊の手から逃れさせる為に霊魂を分割せざるを得なかったこんのすけが、緊急で霊魂の統合方法を審神者のコンピューターに宛てて送ったもので、パスワードによるプロテクトがかかっており、【コンピューター】技能の成功で解除して情報を入手することができる。
「霊魂を結合する儀式」
・専用の陣を描く必要がある(この儀式を知っていれば描くこと自体は自動成功)
・SAN値を1d6消費して【審神者】技能に成功する必要がある。
・何度でも挑戦することができる。
審神者の私室を後にしたところで、短刀二振りに遭遇する。
こんのすけは、侵入した敵は一体だと言っていた筈だ。
君たちは何度か目をしばたいてみたが、眼前の光景は変わらない。
まぎれもなく敵の短刀が二振り、虚ろな眼窩の奥からこちらを見ていた。
全員にアイデアロールが発生し、成功した場合は二振り居る短刀の正体を察する。
魂抜けを起こした刀剣は、その肉体が変化し、敵と変わらなくなるという。
とすれば、目の前に居る二振りの短刀は、どちらかが侵入者で、どちらかが仲間の今剣「だったもの」ではないか。
しかし、君たちに眼前の二振りの区別はつけられない。向けられる敵意に、何ら違いは感じない。
このまま交戦して、もし破壊してしまったら。
侵入者を破壊できたならともかく、もし今剣を破壊してしまったら。
そう想像して、刀の柄を握る手が(審神者用:握りしめた拳が)震えた。
アイデアロールに成功した者は0/1d3のSANチェック。
もし、PC達が全員失敗した上に、PL達がリアルアイデアに成功せず敵を二振りとも破壊しようとするなら、燭台切光忠(あるいは他のNPC刀剣)に察させて「待って!ダメだよ、無理だ!今剣…魂抜けを起こした今剣かもしれないじゃないか!」等と叫ばせたほうが良いかもしれない。その場合は、全員強制的にSANチェックとなる。
短刀との交戦
戦闘は、通常のCoC戦闘ルール(+任意のハウスルール)を適用する。
短刀の攻撃目標はランダムにロールで決めて良い。
KPとしては、PL達にみすみす短刀を攻撃させたくない(今剣を破壊させたくない)ので、敵短刀の行動指針は次のようになる。
1)攻撃よりも回避・受け流しを優先
2)1回の戦闘につき3ダメージ以上与えられると、逃亡する(自動成功)
味方側のNPC刀剣達は、審神者に傷を付けないことを最優先する。こればかりは、たとえ審神者に命令されようと譲らない。
また、今剣かもしれない短剣を破壊することも回避したい為、魂抜けで抜けた霊魂を探す為に逃亡を薦めてくるが、こちらは短剣を攻撃する事を審神者から命じられた場合、不本意ながら従う。
逃亡を選択する場合、DEX対抗(全員成功を条件とするのは面倒なので、交戦中のPCのDEX平均あるいは最もDEXの低い者との対抗ロールにしたほうが無難)で成功すれば逃げられる。
もし、交戦している敵短刀が今剣か侵入者かわかっていない状態で敵短刀を破壊した場合、0/1d4(目撃者は0/1d3)のSANチェック。
二振り目の敵の破壊、もしくは今剣だとわかっている敵短刀の破壊は、1/1d6(目撃者は0/1d4)のSANチェック。
刀剣男士が発狂中に一定以上のダメージを与えられると、今剣と同じく魂抜けを起こす。ダメージのカウントは発狂から回復する毎にリセットして良い。仲間が変貌する様を目撃したPC達には0/1d3のSANチェックが発生するが、不定が近い等の理由で発狂の連鎖が危惧される場合は、KP裁量で減少量を調整したり、免除しても構わない。
怪我は大丈夫だろうか、と案ずる気持ちで仲間を見やった君たちは、一瞬、自分の時が止められたかのようにさえ思った。
その身体から光の玉が弾き出されるように現れたかと思うと、みるみるうちに肌が赤黒く霧散していき、かたかたと音を立てながら関節が変形して、牙のような骨が花開くように伸びる。
何が起こったのかも考えられず、声もあげられず、その場に立ち尽くした僅か数秒の間に、仲間の面影は跡形もなくなり、そこにはただ、新たな異形が存在していた。
霊魂のかけら探し
ここまでで、PLの目的を「短刀を極力傷つけないようにしながら今剣の霊魂を探す」ように誘導したい。
MAPを見ながらどこに移動するかを宣言してもらい、探索を行ってもらう。
各移動ごとにKP裁量で敵短刀に遭遇する可能性があるが、見つかる前に刀剣男士の【策敵】で察知することができる。
この【策敵】はPLのロール宣言を待っても良いし、KPから振るように指示しても良い。PCに刀剣男士が居ない場合、審神者PCからの指示がなければ自主的には行わない形にすれば、NPCゲー化は免れると思われる。
【策敵】で察知できるのは「このまま移動すると遭遇する」ことのみなので、迂回をするか、【隠れる】でやりすごす等といった対処を講じないと、遭遇は回避できない。
遭遇をした場合は、先述のように短刀との戦闘に入り、どちらかが逃亡したところで探索に戻ることができる。
敵の短刀は必ず二振り一緒に行動するわけではない為、魂のかけら探し中の遭遇は一振りずつ(ファンブル時のみ二振り等)にしたほうが処理が軽くなると思われる。
霊魂のかけらはKP裁量で本丸内のどこにいくつ配置しても良い。以下は配置の一例である。
1)霊魂のかけらは全部で三つ存在するものとする。
2)原則、火場と水場では見つからない。
3)残った「広間」「物置」「中庭」「馬小屋」「私室」「手入れ部屋」に、PCが踏み入った時にKPが1d2を振り、1が出たらそこには霊魂のかけらが存在する。無限ループを防ぐ為にかけらは移動しないものとし、1d2で2が3回出た時点で他に探索していない場所の全てに霊魂のかけらが存在することになる。
霊魂のかけらが存在している場所で【審神者】技能に成功すると、霊魂のかけらを発見することができる。
手の平の上で転がるそれは、暖かく光る靄の塊のようなものだ。
控えめな輝きは明かりになる程ではなく、ただ静かに佇むように、微かな脈動の気配を漂わせていた。
刀剣男士はアイデアに成功すると、これらのかけらに対して「弱々しい気がする」「これは霊魂の一部だけなのかも」といった印象を抱く。かけらはひとつだけではなく複数あるのだという示唆である。
もしPCに刀剣男士が居なかった場合、このアイデアロールは審神者PCも可能ということにしたほうが良いだろう。
具体的に全体のどれくらいに感じるか、といった質問をPLがした場合、KPは現在集まっている割合(「1/3ぐらい」等)を答えて良い。
尚、これらのかけらは短刀も探している為、あまりPL達がもたつくなら短刀のほうが先に発見するかもしれない。
ファンブル処理の一例として、短刀が霊魂のかけらを咥えているところを発見するということもあり得る。その場合、食われる前に霊魂のかけらを取り戻したいが、同時に短刀と交戦の必要が出る。1ダメージでも与えられれば短刀は霊魂のかけらを手放すが、刀剣男士のダメージロールが事故らないとも限らない。
霊魂のかけらの統合
全ての霊魂のかけらを回収しても、それらはひとりでにはまとまる様子を見せない。
じつは魂を結合する為の術が必要で、審神者の部屋のコンピューターから入手することができる。
最初に審神者の部屋を調査したときにPL達がコンピューターに目を向けていなかったなら、それとなく審神者の部屋をもう一度調査するように誘導しよう。審神者の部屋に戻った時に、燭台切光忠(あるいはNPC刀剣男士)が「ねえ、こっちの端末で調べられたりしないかな」と助言をしてくれる。
また、どうしてもこんのすけのメールのパスワードを解除できない(どういうわけか【コンピューター】持ちが居ない等)場合、こんのすけ本体をコンピューターに繋いで無理矢理儀式に関する情報を入手させる等といった手がある。
「霊魂を結合する儀式」
・専用の陣を描く必要がある(この儀式を知っていれば描くこと自体は自動成功)
・SAN値を1d6消費して【審神者】技能に成功する必要がある。
・何度でも挑戦することができる。
念のため、PCの【審神者】技能の高さに応じて消費SAN値は見直してほしい。
この儀式に使う専用の陣は、それなりに開けた空間を必要とするので、中庭や広間といった場所に移動してもらう。
儀式の呪文を唱え始めると、足下に描いた陣に気が満ちる気配がした。
陣の真ん中にある三つの光が、溶け合うように混ざり合って一つの光の玉となる。
手をかざしてみると、かけらだった時よりも力強く、確かな脈動を感じた。
決戦
PC達が霊魂の統合に成功したところで、短刀が二振りとも霊魂の気配を察知して儀式を行っていた場に現れる。
もしPC達が広間に居て障子を閉めていた場合、遠慮なく障子を突き破ってしまおう。
二振り居る短刀のうち、どちらかは今剣の肉体で、霊魂に戻す際に必要な呪文も霊魂そのものも、手中にある。
二振りのうちどちらが今剣なのかを確かめる方法がなくとも、NPC刀剣男士は「試してみよう」と術の使用を審神者に促すだろう。
理想は、戦闘に入って刀剣男士達が審神者を守りながら、審神者が術の使用を試みる展開だ。
あらかじめ二振りのうちどちらが今剣かを1d2のダイスで決定し、どちらの短刀に術を試みるかはPLに選ばせる。
今剣に術の使用を試みた場合、ターンの経過を待たずしてもう一振りの侵入者の短刀から、悪霊が湧き出てくる。
このままではせっかくの霊魂がまた元の肉体に戻ってしまうので、なりふり構わず襲いにくる構えである。
その姿はまるで、全てを飲み込もうという闇が、その生き物から溢れ出しているようだった。
黒々と空気を淀ませながら、もう一振りの選ばれなかった短刀から怨念のようなものが立ちのぼる。
依り代としていた小柄な骸骨を抱え込んだその姿は、短刀にして短刀にあらず。
悪霊と呼ぶべき生き物が、極上のご馳走を邪魔する者を排除しようと、眼前に立ちふさがった。
その悪霊を目撃した全員が1d3/1d6のSANチェック。
そのまま、術者を守りながらの悪霊との戦闘に移行する。
反対に、侵入者の短刀に術の使用を試みた場合、MPは消費されるが霊魂は弾き飛ばされる。
それはつまり、もう一方の短刀のほうが今剣であることを示唆し、このまま同じ短刀を装う意味がないと判断した悪霊は、やはり上記と同じように姿を現して襲いかかってくる。
この場合、術者は術を唱え終わって身動きがとれない状態から解放されているので、先にこの悪霊を倒してから呪文を唱えなおすという方法もとれるだろう。
今剣の復活・侵入者の撃退
霊魂を戻す術を完了すると、晴れて今剣が復活する。
霊魂の輝きが強くなり、一陣の風と共に、電光石火の如き早さでその場を駆け回って、骸骨に向かって飛んでいく。
その光が残す残滓が、まるで桜の花びらのように視界に舞ったかと思うと、目も眩むような光が辺りを包み込んだ。
そして、君たちが恐る恐る目を開くと、そこには光の花びらを纏って再びこの地に顕現する、付喪神の姿があった。
ただ幼いだけの姿では収まらない、鋭利な力を纏った短刀が一振り———今剣だ。
もし、復活したのが悪霊との交戦中なら、「よくもおどかしてくれましたね!」と今剣も戦闘に加勢してくれる。
悪霊の姿を見た事によるSANチェックは、シナリオの冒頭で既に済ませているので、ここでは無視して良い。
そして、悪霊(もとい、侵入者の短刀)のHPを削りきると、その黒い靄は骸骨と共に霧散していく。
もしかすると、ここで侵入者の短刀の元となった短刀の自我がかいま見えるかもしれない。
ネタバレにもなる為KPの裁量次第だが、小夜左文字の破壊台詞の改変はなかなか場に適していると思われる。
「ああ…これでもう、誰も殺さなくていいんだ…。」
エンディング
侵入者の短刀を破壊し、今剣も復元(あるいは破壊)すると、本丸は平穏を取り戻し、晴れてシナリオクリアとなる。
ただし、事故が起こって短刀以外の刀剣も魂抜けを起こしていた場合、それらも処理(刀剣を破壊するか、あるいは霊魂を戻す)しないとシナリオクリアとはならない。また、霊魂を戻す呪文の関係で、魂抜けを起こしている刀剣が存在している状態で審神者PCが全滅した場合は、刀剣の復活が実質不可能の為、魂抜けを起こしている刀剣も同時にリタイア扱いとなる。従って、残っている刀剣男士が破壊してのビターエンドか、刀剣男士も全滅してのデッドエンドが確定する。
シナリオクリア後、こんのすけを充電して起動しなおしたことにして、本丸のゲートのロックを解いてもらうことができる。これにより、通常通り出陣、遠征や演練に出向く事ができるようになる。
扱いとしては、自分の本丸から破壊刀剣を出さずに侵入者を撃退した場合がハッピーエンド、破壊刀剣を出してしまった場合がビターエンドとなるだろう。
付録
本丸のマップ案内
シナリオ作成者がサンプルで作成した本丸地図(当シナリオやその改変への使用は自由・その他の用途は報告をください):
探索中、難しいところでクリティカルを出されたら、手伝い札を見つけたことにして良い。
- 鍛刀部屋
1)【目星】に成功で栄養ドリンクを見つけることができる。これは、仮に刀剣達が全員事故を起こして審神者が一人きりになった際の救済アイテムで、MPを5回復することができる(霊魂を戻す呪文用)。
2)味方を増やす救済措置として、鍛刀を行うことができる。
面倒なので資源と依頼札は無制限と考えて良いが、手伝い札が必須となる。 - 手入れ部屋
1)【目星】に成功で薬研車(薬草を磨り潰す道具)を見つけることができる。
特に何というわけではないが、侵入者を薬研藤四郎と設定していたなら、これに僅かに反応させて今剣との見分けをつけさせることもできる。
2)刀剣の手入れを行うことができる。ゲームに倣ってすぐにHPが全回復するが、やはり手伝い札が必須となる。 - 審神者の私室
1)シナリオに記載していた通り、本棚やコンピューターから各種呪文が得られる。
2)【目星】に成功すると手伝い札を見つけることができる。 - 刀剣達の私室
マップでは区切っていないが、実際は刀剣毎あるいは刀種毎に部屋が用意されている。 - 未使用の私室
虎の描かれた屏風がある。特に何というわけではないが、侵入者を五虎退と設定していたなら、これに僅かに反応させて今剣との見分けをつけさせることもできる。 - 物置
1)【目星】に成功で愛染明王の彫刻を見つけることができる。
特に何というわけではないが、侵入者を愛染国俊と設定していたなら、これに僅かに反応させて今剣との見分けをつけさせることもできる。
2)その他、あったほうがいいかもしれない物資などはここに配置できる。 - 広間
壁に木刀が数本立てかけてある。短刀と交戦する際に真剣ではなく木刀を使うことで、ダメージを与えすぎないようにできる…かもしれない。 - 厨房
【目星】に成功で干し柿を見つけることができる。
特に何というわけではないが、侵入者を小夜左文字と設定していたなら、これに僅かに反応させて今剣との見分けをつけさせることもできる。 - 馬小屋
- 畑
【目星】に成功で鍬を見つけることができる。必要なら審神者が使える武器として扱える。
敵の短刀
侵入者、今剣(魂抜け)共にこの能力値となる。
能力値
HP: 15
STR: 15
CON: 12(気絶・ノックアウト不能)
DEX: 15
SIZ: 10
db: 1d4(KP裁量)
技能:
日本刀 30% 1d8+DB
侵入者側の悪霊が正体を現した後も、基本能力値は変わらないが、KP裁量でHPだけは増やしても良いかもしれない。
刀剣男士サンプル能力値
POW, APP, INT, EDUはダイスやKP裁量で決定。
尚、これはNPCの能力値決定の参考目的のもので、刀剣男士PCの場合は下記の例に沿わずに自由に作成してもらって構わない。
短剣
HP: 11
STR: 15
CON: 12
DEX: 15
SIZ: 10
db: 1d4
打刀
HP: 13
STR: 16
CON: 13
DEX: 13
SIZ: 12
db: 1d4
太刀
HP: 15
STR: 16
CON: 15
DEX: 10
SIZ: 14
db: 1d4
クレジット
シナリオ原案・執筆・マップ作成:ε-ium
シナリオ作成補助:桐葉
当シナリオは刀剣乱舞原作とは関わりはございません。